旧ホームページ(この記事は2012.3にアップ)より転載
友人が韓国から「コッピッパ」(皮むき小豆)と「コムル」(熱処理済みの小豆粉)を 冷凍のまま持ち帰ってくれたのが1年前。
震災後の計画停電のため、冷凍庫の素材が心配になり、
まずは、念願のシルトックやペクソルギを友人にアドバイスをたよりにつくってみました。
下が「コッピッパ」で、上が「コムル」。どちらも冷凍状態。
実際の「コムル」は色がもっと濃く、ほぐれた状態。 シルトックは、米の粉(日本製)と塩と少量の水を合わせてフルイにかけ、
「粉」をつくります。 粉、コムル、粉の順に三層、極力押しつけないよう、型に詰めました。 一番上の写真はコムルを入れたところ。このあと、さらに粉をふんわり詰めました。 木枠があると「白雪こう」のようでよかったのですが、家にあったステンレス型です。 強めの火で40分以上蒸しました。 日本の蒸籠ではどんどん蒸気が逃げるので、結果に大きな差が出てしまいます。 韓国では、焼〆の土器のような甑を使い、合わせ目を小麦粉のペーストでぐるりと覆って、 極力蒸気を逃がさないようにすると聞きます。 「白雪こう」がお好きだった良寛さんの文字の布巾を載せて、うまくできますよーに。
コムルは塩味です。小豆を茹でて塩を加え、皮つきのままつぶしたものだそうです。 粉のほうも、塩は入れますが、砂糖は入れないのが古くからの製法のようです。 日本の「塩がま」系の押しものが、その流れをひいているように思います。 生の米粉をそのまま蒸すという加熱処理ですが、 湯で練ってから蒸したり、茹でたりする日本の熱処理との一番の違いは、 米粉の風味を水に溶かし出さない点だと思われます。 ペクソルギも、シルトック同様、塩のみ加えた粉を蒸しました。 石臼で引き立ての米の粉をつかうことができれば、蒸すだけの調理なので、 米の本来のうまみを味わえるように思います。 「蒸し餅」「蒸し粉」おそるべし! そういえば、奄美には、「ムスコ(蒸す粉)」と呼ぶものがあるそうです。 フルイの目がもう少し粗いか、粗挽きの粉を使うなどもよいのかもしれません。 意外だったのは、40分も蒸しても、ふわりと崩れやすかったのです。 もっと蒸気で固まるかと思っていましたが、日本式の蒸籠では一工夫が要りそうです。 粳の粉だけを使ったせいか、できあがりは粘りがなくホロホロとしていました。
見た目はほぼ落雁でした。 粉の挽き方、糯米粉も混ぜる、塩とともに砂糖(少なめが肝心)を入れる、などの工夫や、 型に詰める時の押し加減、蒸し加減など、ちょっとした違いで結果が違う
シンプルなだけに奥が深い菓子だと感じました。
金沢の「生じめ」(左)と試作のペクソルギ。
2012.3
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